第4章:検索拡張生成(RAG)
こんにちは、楠姐です!今日は「検索拡張生成(RAG)」についてお話ししましょう。この章では、LangChainを用いて知識ベースに基づいたQ&Aシステムを構築するために必要な技術に焦点を当てます。特に、文書の読み込みと処理、テキストの分割戦略、ベクトルストレージの利用、そして実際のQ&Aシステムの構築について詳しく解説します。それでは早速、始めましょう!
4.1 文書の読み込みと処理
このセクションでは、LangChainを使用して様々な形式の文書を読み込み、処理する方法について学びます。さまざまなデータソース(PDFファイル、テキストファイル、Webページなど)から情報を収集することは、RAGシステムの基盤を築くための重要なステップです。
例えば、PDFファイルからテキストを抽出するためには、LangChainのDocumentLoader
クラスを利用します。このクラスは、異なるフォーマットの文書をサポートしており、さまざまなメソッドを通じて内容を簡単に処理できます。以下に簡単なコード例を示します。
from langchain.document_loaders import PyPDFLoader
loader = PyPDFLoader("sample_document.pdf")
documents = loader.load()
このようにして、読み込んだ文書は後にテキスト分割やベクトル化の際に使用されます。
4.2 テキスト分割戦略
次に、テキスト分割戦略について探っていきましょう。適切なテキスト分割方法は、情報検索の効果に大きな影響を与えるため、非常に重要です。基本的な戦略として、文、段落、トークンのいずれかで分割することが考えられます。
例えば、大量の情報を扱う際には、2〜3文ごとに分割するのが効果的です。一方で、短い回答が必要な場合には、つながりのある文をひとまとまりとして扱うことも選択肢の一つです。以下のコードで、段落ごとに分割する例を見てみましょう。
from langchain.text_splitter import RecursiveCharacterTextSplitter
text_splitter = RecursiveCharacterTextSplitter(chunk_size=500, chunk_overlap=50)
texts = text_splitter.split_documents(documents)
この分割によって、後のベクトル化プロセスがより効果的になります。
4.3 ベクトルストレージと検索
このセクションでは、ベクトルデータベースを用いて文書埋め込みを保存・検索する方法について理解します。文書をベクトル形式で保存することで、効率的な情報検索が可能になります。
LangChainでは、FAISS
などの強力なベクトルライブラリを用いて、文書を埋め込むことができます。具体的には、以下のようにしてベクトルを生成し、ストレージに保存します。
from langchain.embeddings import OpenAIEmbeddings
from langchain.vectorstores import FAISS
embeddings = OpenAIEmbeddings()
vector_store = FAISS.from_documents(texts, embeddings)
ここで生成されたベクトルストレージは、後に検索クエリと対照することで、関連情報を迅速に引き出すことを可能にします。
4.4 Q&Aシステムの構築
最後に、実際に自社文書に基づくQ&Aシステムを構築します。ここまでの学習を生かし、ユーザーからの質問に対して迅速に回答できるシステムを作成します。
まず、ユーザーが入力した質問を取得し、それをベクトル化して検索を行います。次に、最も関連性の高い文書を選び出して、その情報をもとに回答を生成します。以下に例を示します。
user_query = "会社の製品について教えてください"
query_vector = embeddings.embed_query(user_query)
search_results = vector_store.similarity_search(query_vector)
# 取得した情報を基に回答生成
answer = generate_answer_from_search_results(search_results)
このようにして、質問に対する的確な回答が得られるQ&Aシステムが完成します。
以上が、第4章「検索拡張生成(RAG)」の大まかな内容です。RAG技術を駆使することで、知識ベースに基づいた柔軟な情報検索が可能になります。次回はエージェント開発について探っていきましょう。お楽しみに!